山田太一さんが亡くなりました。

 山田太一さんが、一週間ほど前に亡くなられました。 89歳だったということですが。 それで、もう少し早いうちに、山田さんを偲んで文章を書こうかと思いましたが、やはり少し山田さんの作品を幾つか改めて見直してから、書くことにしたのです。 

 山田作品は、好きなものはほとんど録画かDVDがあるので、見ようと思えばいつでも見れるのです。 この2・3日で見たのは、初期の作品で木下恵介アワーの中の”3人家族”と”二人の世界”、それと”兄弟”です。 この書き込みが終わってからは、”男たちの旅路”と”ふぞろいの林檎たち”の多くのを(いっぱいあるので)、そして”想い出づくり”も見たいと思っています。

 さて、’3人家族’などは、以前にもその感想を書いているので、同じような重複は避けたいですが、この3作品とも主人公カップル以外にもう一組、その弟や妹たちがいつも恋愛模様を展開するのですが、これまで、その部分はつまらない、と言ってきました。

 この3作品のうち、”3人家族”と”兄弟”では、その部分は、あおい輝彦さんと沢田雅美さんが演じており、”二人の世界”では、同じくあおいさんと女性はかなり年上の設定で私の知らない女優さんが演じています。 それで、今回、なぜ、あおいさんと沢田さんなどのからむ部分が、あまり面白くないのか、という観点も少し気にしながらドラマを見ていました。 それで、ここでのあおいさんの役は、浪人生か大学生かという設定であり、ただ若くて恋愛にその真剣みがあまり感じられないせいなのかな、と当初思いました。

 でも、考えてみると、その10数年後に出てくる”ふぞろいの林檎たち”も、パート1は大学生の話です。 大学生と看護学生の話です。 でも、私には、とても面白かった。 もちろん、その当時、私も大学生だったから面白かったのかもですが、今見ても面白いし、また、木下恵介アワーの作品も、メインのストーリーは、今見ても面白い。 でも、この若いカップルの話は、やはりイマイチに感じるののです。 なぜか?

 それで、ひとつ思ったのが、失礼ながら、沢田雅美さんが今でいうあまりビジュアルでないせいかも、と最初思ったわけです。 たしかに、”3人家族”では、あおいさんの演じる健(たけし)は、初めの方で、かなり美人の女優さんが演じる幼馴染に片思いを寄せており、私にも、その仲がうまくいけば良いなと思わせました。 そういうことで、沢田さんがもう少し美人であれば、このジュニア世代の恋愛部分にも、私はもっと共鳴したのかな、とも思いました。 

 でも、”二人の世界”で、大学生であるあおいさんは、ブティックで働く6・7歳年上のかなり大人の魅力を持つ美人の女性にまたまた片思いをします。 この恋愛模様は、結構ドラマのほとんど最後まで続きます。 この二人の恋愛というか恋の駆け引きの部分も、私には、やはりあまり面白く感じないのです。

 なぜなのか? 逆に考えて、メインの主人公である竹脇無我さんや栗原小巻さんの演じる部分には、恋愛の部分はもちろんありますが、それプラス、生き方、人間の価値、あるいは、仕事の価値など人生の根源的なテーマを絡ませているから、面白いのかな? もう少し具体的に言えば、仕事と恋愛の両立、職場での出世、仕事と家庭の関係、結婚によって人生が決まってしまう閉塞感等々。 どれも、私も、社会人時代に感じた悩み・課題でした。 だから、この主人公たちの恋愛部分は、面白いのかと。 ”ふぞろいの林檎たち’も、主人公でありますが、学生の恋愛ドラマであっても、3流大学の劣等感や性の悩み、進路の悩みなど、その年代の一番の問題と真正面に向かい合っているので、非常に面白かったのではないか、と感じます。

 木下恵介アワーの若者の恋愛は、そういう社会的な悩みがほとんどなかったから、私は、あまり感動しなかったものと推測します。 その証拠に、ドラマ”兄弟”の中で、沢田さんが、あおいさんに”自分は山梨の田舎の出身でデパートの売り子であり、大学生のあなたとは釣り合いがとれない’みたいなことを言うのですが、こういう部分は、この私にはなかなか面白いものがありました。

 ここまで書いて、アレ以前にも似たようなことを書いたかな?と思いましたが、まあ続けます。

 結局、私の勝手な推測ですが、こういう恵介アワーの作品群の中の若いカップルで描けなかった思いをもっと拾い上げて、時代も進んだ後に書いた’ふぞろいーー”では、男女の性の問題などもより赤裸々に描写することによって、山田さんは、その時代の若者の真の実態を描いていきたかったのでは、と。 恵介アワーの時代は、主人公のカップルでも、潔癖というぐらい”性”あるいはセックスの話は出てきません。 もちろん、時代のせいもあるでしょう。 でも、私は、そこに、脚本家の山田さんを監視する製作者としての木下恵介さんの存在もあったのでは?と邪推します。 その証拠ということでもないのですが、恵介アワーでは、この3作品の1・2年後に木下恵介さん自身の脚本で加藤剛さん山本陽子さん主演の”太陽の涙”という作品があるのですが、面白いことは面白いのですが、何というか潔癖さ・生真面目さは、山田作品以上です。

 まあ、たわいもないことを書きましたが、山田さんは亡くなっても、作品群は永遠です。 これらの作品を私は死ぬまで見続けていくことでしょう。 そして、主人公たちが問いかける人生の難問に、いつも一緒に悩んでいくことでしょう!

 

 それと、話は一転しますが、ここで、今のホットな話題もまた追加しておきたいと思います。 今、MLBメジャーリーグ・ベイスボールでは、大谷翔平選手の移籍が、大きな話題になってますね。 日本で言うストーブリーグですかね。 それで、大谷選手は、かねてからドジャーズ入りが濃厚と言われていたのですが、ここに来て、にわかにトロントのブルージェイズが大きく取り上げられていますね。 トロントと言えば、MLBで唯一カナダにあるチーム。 もし、大谷選手がトロントに入れば、カナダの国民の熱気は、相当なものになるでしょう。 ユーチューブで、私は、トロントの地元放送局やブルージェイズ・ファンの動画をここ数日よく見ていますが、その興奮ぶりはすでに相当なものです。 

 もし、彼がトロントに行けば、カナダと日本の友好も一段と増すでしょう。 今、こちらは、12月7日の夜6時ころです。 トロントは、昼過ぎぐらいでしょうか? あと2・3日以内で、このMLB 史上最高の選手(と関係者のほぼ全員が言ってます)のFAの落ち着き先が、決まるようです。 興奮しますね!

 それと、もうひとつだけ、サッカーの日本代表、男女とも強くなりました。 こちらも、試合を見るのがとても楽しみです。 強豪と対戦し、守備に入っても、昔のようなオタオタ感は全くない。 堂々と対応している感じ、頼もしいです。 では、また。