天皇さんと、ちょっとチャット(3)

 まず、一礼したのですが、私は、この日、白足袋下駄履き(そんなに高いものではなかったのですが)だったこともあり、かなり深いお辞儀をしても、小柄な天皇より、まだ私の頭の方が上にあるような感じがして、少し恐縮してしまいました。
 
 目の前にいる天皇は、少し前の前立腺の手術とその治療のせいか、やや浮腫んだ顔をされていましたが、70歳以上のお年ということを考えれば、すこぶるお元気かな~とも思いました。 ついでに言いますと、横のグループで話されている美智子さんは、とても素晴らしく美しく見えました。

 それで、実際の会話の部分は、完全に覚えているのですが、その前の紹介のところは、ちょっと忘れました。 恐らく、日本人会の会長が、私を副会長ですと紹介し、彼は、柔道をしていますと、言ってくれたと思います。 それで、私が「~~です。」と名前を言い、続いて、「横にいるのが妻の~~です。」と言ったと思います。
 
  それからの会話のやりとりを、一語一句書きますと、
 
    (天) 「お仕事は、何をなされていますか。」
     (私) 「主夫をしています。」
    (天) 「えっー」
    (私) 「主夫です。」
    (天) 「あっ、そおー。」 で、すぐ、妻の方を向かれて、
        「あなたは、何をなさっているのですか。」と尋ねられました。

 ここから、私は、天皇と妻の間の臨時通訳になりました。
    
    (妻) 「高校の美術の教師をしています。」
    (天) 「ああ、そうですか。 どのような美術をされていますか。」
    (妻) 「油絵、デッサン、デザイン、セラミックなどです。」
   
 ここで、私の通訳もあまりよくなかったとは思いますが、天皇は、美術のどの分野を主に得意としているのですかと、聞きたかったと思いますが、私の妻の答えが、あまりにも一般的だったので、「そうですか。」という言葉で、私たちとの会話は、終わってしまい、次のカップルに移動されました。

 このあと、この館の中で、アイルランド人5人ぐらいの楽団による演奏会を、1時間ほど全員で聴いて、この日のイベントが、全て終了しました。