犬のワクチン接種、私がやっていいのかな〜〜?

 
 さて、この間にしたこと起こったことを書きますが、まずは、多分いちばん一般受けしそうなところから書きます。 時間の経過の順ではなく。 ちなみに、最近、テレビの司会者などは、こういう意味のことを「時系列(じけいれつ)」とよく言うのを耳にしますが、私たち理科系の者が、よく使っていたのは、「経時的(けいじてき)」という言葉です。 時系列も、元々科学用語らしいのですが、こちらは物理学関係の人が、よく使うもののようですね。
 
 で、その経時的ではなく、まず先週の土曜日に、我が家の3匹の犬に年1回のワクチン接種をした話をします。 まあ、私は、自分のペットのことをいちいちこのブログの記事にはしてきませんでしたが、それは、他人のそういう記事は見たくない、面白くないという私の思いがあるからです。 錦鯉についてもそうです。 ただ、今回のような、ちょっとお国柄で違うようなところは、まあ紹介してみようかなーというところです。
 
 我が家での出来事の前に、犬の衛生管理について、すこし日本とアイルランドの違いを書きますと、まず国の定める飼い主の義務では、日本では、飼い始めたら犬の登録をし、その後、毎年1回の狂犬病予防注射を打たなければなりません。 この接種費用は、だいたい2000円ぐらいだと思います。 
 
 で、アイルランドでは、犬の登録は、毎年行わなければなりません。 その費用は、数年前に12ユーロから20ユーロ(約2800円)になりました。 この数年前とは、多分、アイルランドがIMFなどの経済援助を受けて以来だと思います。 そのかわり、狂犬病の予防接種は、必要ありません。 アイルランドや日本、そしてイギリスなどの島国国家は、狂犬病の清浄地(発生していない)として、世界でも少数派なのですが、その対応は異なりますね。 
 
 ですから、年1回の出費としては、日・愛とも、まあだいたい同じだということになります。 ちゃんとこの義務を飼い主が行えば、ですが。 ただ、日本でもアイルランドでも、その他の犬に多発するジステンパーやレプトスピラなどの感染症予防のためのワクチン接種(以下、混合ワクチンとします)が、推奨されています。 これは、幼犬時に2-3回、その後毎年1回の接種になります。 まあ、こういう狂犬病やその他のワクチンの接種については、その効果や頻度など、私が若い頃からいろいろ議論がありましたが、ここでは、そのようなことには関知しません。 他に、飼い主は、数ヶ月に1回の寄生虫駆除をしたほうがいいかもしれません。
 
 で、この混合ワクチンですが、こちらアイルランドの人は、家族で旅行に出かけること多く、その度、犬をボーディング・ケンネル(日本では、何と言うのがいいのか、つまり犬のホテル、預かり所のことです)に預けています。 私たちも、これまでそうしてきました。 その時に、この預かり所の人が、犬のワクチン接種の記録をチェックします。 もし、ちゃんと接種していなければ、預かってくれません。 他の犬への感染の恐れがあるからです。 たぶん、この事情は、日本でも同じだと思います。
 
 それで、私の家でも、それまで、こちらの獣医師(英語では、Vet ヴェット)に毎年混合ワクチンを接種しに車で犬たちを運んでいってました。 1匹あたり確か50ユーロくらい取られたと思います。
 
 ところが、2年前に、私たちの利用する犬預かり所のオーナー夫婦が、「あなた、日本の獣医師の資格があるんなら、自分でワクチン接種したら?」と言いだしたのです。 私は、「ええ、いいんですか? あなたが、そういうのなら、やらしてもらいます。」と、嬉しく返事しました。 そのあと、彼女(妻のほう)は、「ええ、どうぞ。 私も自分でやってますから!」という感じのことを言いました。 このボーディング・ケンネルの奥さんは、獣医師では、ありません。 彼女は、動物看護師(これも正確な日本語は知りませんが)の資格を持っているようですが、イギリスの。  このケンネルの夫婦は、イギリス出身です。
 
 私の家族としては、このニュース、非常にうれしいものでした。 私たちが、この混合ワクチンをちゃんと接種する理由は、このケンネルに預けるためだけと言っていいくらいでしたので、そこのオーナー自身がいいと言ってくれるのなら、他に気にする者はいないので、これに越したことはありません。 
 
 年1回とはいえ、3匹の比較的大きな犬を車に乗せ、1匹50ユーロ以上支払っての予防接種は、結構大変でしたから。 そのあとの車内の掃除(犬の毛の除去など)もありますしーーー。 そして、幸いに、このケンネルの夫婦が、そのワクチンを売っている薬局も教えてくれました。
 
 というわけで、我が家の犬たちへのワクチン接種は、去年から、私自身が行っています。 ワクチンそのものの費用は、注射針なども入れても、1匹あたり8、9ユーロです。 ああ、安上がり! ただ、犬の保定(固定のこと)の必要があるので、家族全員でやってます。
 
 実は、皆さんは、私が、獣医師であるので(正確には、元。日本でも、今も資格があるのかどうかさえ知りません。)、以前から、犬への注射はよくしたのだろうとお思いかもしれません。 しかし、獣医の学校の学生たち(少なくとも私の時代)は、外科の研究室など2.3の研究室に所属していなければ、犬への注射などは、あまり経験しません。 授業で、学生全員がするのは、1・2回あったかどうか程度です。 その代わり、私が所属していた研究室では、鶏や牛への注射や採血をよくしました。 鶏は、人間で言えば、肘の内側の血管から採血するのですが、結構難しいですよ。 私は、鶏からの採血を働きだしてからも最初の3年間やってました。
 
 と、ちょっと余談的になりましたが、まあ、この犬のワクチン、接種方法は、頭ではわかってましたのですが、初めてということで、ほぼ素人とも同じ。 でもまあ、何とか出来たように思います。 ただ、犬も1匹1匹皮膚の厚さ(というより皮下脂肪の厚さ)が異なっていることを、その場で改めて知り、少々慌てました。 たぶん、うまく行ったと思いますが、上に書きましたようにケンネルの夫婦にワクチン記録を見せるということのみが実際に必要なことで、ワクチンなど実際にせず、そのビンにあるワクチン番号などが書かれたステッカーを犬の記録カードに貼るだけでいいのですがーーー。 それが、去年の第1回でした。
 
 それで、今年も、妻に頼んで、同じ薬局(妻の学校の近くにある)で、ワクチンを買ってもらおうとしたら、今年は、薬局のオバさんが、このワクチンは、本当は処方箋がいると言ったそうです、で、妻は、すかさず、私の夫は、獣医師です、と言ったそうな。  でも、本当は、日本の獣医師の資格は、アイルランドでは、無効なはず(その逆も、多分そうでしょうが)。 しかし、この薬局のオバちゃん、ああそうですか、と無事今年もワクチンを売ってくれました。 妻は、たぶん、日本の獣医師資格とは、言ってないはず、でも、このオバちゃん、処方箋も要求しなかったので、結局、誰でも、このワクチン買えるということですね。 去年は、妻は何も聞かれなかったようですし。 まあ、このへんが、アイルランドですかね、やっぱり!
 
 で、今年の接種をしようとした先週の土曜日の数日前、テレビで偶然面白いニュースを見ました。 それも、いつも見ないフジテレビのニュースでした。 余談ですが、私が見ているJSTVでは、ニュースというのは、ほとんどNHKのものなのですが、このフジテレビのスーパーニュースというのが唯一民放のものであります。 しかし、これは、こちらでも6時頃の夕方に放送され、つまり、日本より8・9時間おくれでです。 NHKのニュースが日本とほぼ同時に放送されているので、このニュース番組の存在価値がほとんど無いことは、おわかりでしょう。
 
 で、普段見ないそのスーパーニュースで、多分サッカーの試合の合間か何かで、先週の水曜日か木曜日に、関東のあるトイプードル専門のブリーダーが、自分の販売する子犬のワクチン接種を自分たちで違法に行っていた、というものがありました。 我が家で、2・3日後にやろうとしていただけに、ホントにオモシロイ偶然だなーと思って見ていました。 そのニュースの中で、女性の獣医師らしい人のコメントで、素人がやると変な病気みたいなことを引き起こすこともあるので、しないでほしいみたいなコメントも追加していました。
 
 しかし、これは、はっきり言っていらないコメントだと私は思います。 今の世の中、幸か不幸か、やはり資格で動いているので、資格の無い者が、やってはいけないことをやった、ということだけでいいのでは、と思います。 実際、その技術が、うまいか下手かは、資格の有る無しとはあまり関係がないと思います、残念ながら。 
 
 今回のニュースでも、このブリーダーは、何百回もワクチン接種していたベテラン(?)だったようですし、きっと、私などよりは、もっともっとうまかったはず。 以前にも、無資格で医者になりすましたり、学校の先生をやっていたりなどというニュースがいろいろありましたね、でも、彼らの技量は、結構よかったのかもしれません。
 
 まあ、長きにわたって、だらだら書きましたが、それでは、今年の我が家の、ここアイルランドでは違法か遵法か、はたまた、今流行りの脱法なのか、どうかわかりませんが、そのワクチン接種の様子の写真を提示して、今日はおしまいです。
 
イメージ 2
イメージ 1
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 サモエドのシロは、毛が深いのでやりにくです。
 
イメージ 5
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 虎毛の秋田犬のクロは、大分寿命にちかづいている感じで、かなり痩せてきました。
 
イメージ 3
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 下左が、犬のワクチン記録です。 拡大したら見えると思いますが、最近の接種者は、私です。 飼い主も私です。 右は、ついでに、こちらの登録証を載せてみました。
 
 イメージ 7
イメージ 6