ドキュメンタリー映画「ある精肉店のはなし」

 忘れていた話題がありましたので、もう一つだけ書きます。 これも、去年11月頃かなー、ネットでいろいろサーフしていて見つけたのですが、若くて多分東京出身の女流映画監督(難しい苗字だったのを覚えています)が、2.3年前に、この記事のタイトルの実録映画を制作していたのです。
 
 これは、大阪府貝塚市のあった、ある肉屋さんの話なんですが、何と、この肉屋さん、一家で、その牛肉の元となる牛の飼育を行い、そして、屠殺・解体、さらに食肉にして自分の店で販売する、という完全一貫経営と言おうか何と言おうか、とにかくスゴイ肉屋さん(または畜産農家)なのです。 
 
 私が現役でいた1990年代には、こんな話、私も私の回りの兵庫県の獣医師も、ほとんどこの精肉店の存在を知らなかったと思います。 ただ、それ以降、この精肉店が有名になり、かつての私の同僚たちには、ひょっとして既知の事実であったかもしれません。 牛を、屠殺解体して、その肉を販売に供するのには、公の機関の検査がいるので、大阪府の獣医師の間では、以前から有名な一家だったかもしれません。 でも、とにかく、すごいことです。
 
 21世紀の日本で、このような精肉店があったことは、本当に驚嘆でした。 (2・3年前に廃業したそうです。) 1970年代以前なら、山奥の村落で、自分の飼育した牛馬を屠殺し、自分たちでそれを食する、ということは、けっこうあったとは思います。 今現在の法律は、よく知りませんが、昔の法律では、販売ではなく、自家消費する分には、屠殺・解体に公的機関の検査は必要なかったからです(多分)。
 
 この精肉店の話は、専門家の獣医師(私は、元ですが)としても画期的な事例だと思います。 差別と偏見の部分が無ければ、NHKスペシャルに出てもおかしくない話題です。 昔、NHKは、外国にあるこういうような農家をよく紹介していましたね。
 
 私は、この映画の予告編みたいなものしか見ていませんが、この監督のこの精肉店一家への温かい眼差しを感じとることができました。 是非、いつか本編を見たいと思っています。