アイルランドに来た理由 そのちょっと前

 先に、芸能人の政治的言動について書きましたが、それを補足しますと、私は、かつてのボブディランや岡林信康のような歌手は、好きですしいいと思う。 なぜなら、彼らの芸能活動の中心が、政治的・社会的な問題を扱ってたからです。 でも、嫌なのは、普段、愛や恋やなどと言って、若い人を引き寄せていながら、一方で、政治的なことを言う、そういうタイプの芸能人です。 これは、私には、若者をたくみに甘い言葉で勧誘するどこかの新興宗教みたいなのと同じではないかと、思うからです。
 
 いままで、アイルランドのこと書いてきましたが、何故かあまりこの国のことを肯定的に言えないのは、この国にある単一民族的な自尊心と情報欠如によるステレオタイプが、他民族ことにアジア人やアフリカ人に対する偏見が底辺にはびこっているせいだと、私は思っています。 その自尊心は、長い抑圧の歴史からの反動によるものかもしれないし、情報欠如は、それによる貧困のせいである、かもしれません。 ちちろん、ごく近所の人々とは、私は、お互い普通に接していますし、私には、柔道や空手の仲間もいます。
 
 しかし、町でも村でも不特定のところへでかけると、イギリスやアメリカで経験したことのない異様な否定的な視線をこの国の人から感じます。 こちらに、長くいた日本人で、そのような感覚をもった人は多いと思います。 恐らく、あの愛蘭土紀行を書いた司馬遼太郎も、おなじようなものを感じたのではないでしょうか。でも、そのような感覚も、1993年に、初めて私がこの国に来たときから比べれば、今は、アフリカ難民の定住や中国人が多く首都ダブリンにいることなどもあって、徐々に薄くはなってきているのかもしれません。
 まあ、そういう来てみてわかることは、いろいろありますが、では、来る前は、どう思っていたのか、つまり、どういうことでこの国に来たのか話します。