SAPIO12月号には、けっこう興味ある記事がありました!

 ブログへのネタがある時は、それをすぐに書いてしまいたい気があるのですが、こちらに戻った時には、犬や錦鯉の管理のことで予想外のアクシデントが起こっており、ここ数日、それらの修復にバタバタしてました。 前回の「マッサン」に関する記事は、その旬(しゅん)を逃してはいけないと、頑張って早く書いたわけです。
 
 それで、日本滞在中のその他の話もすぐ書きたいのですが、それより先に、私がこちらに戻る時、飛行機の中で読んだ月刊誌SAPIOに関して書きます。 これは、まだ発売されていると思うからです。
 
 私が、以前、日本にいる時に、よく買って読んでいた雑誌は、ほとんどAERAだけで、たまにニューズウィークの日本版も買ってました。 FOCUSやFRIDAYなどは、昼飯時などに入った喫茶店にあれば、見ていましたが、いまから書こうとしているSAPIOなどは、ちょっと今の安倍ちゃんの思想に近い雑誌だろうと、ほとんど読んだことがありませんでした。
 
 ただ、今回、日本にいる時に、その広告で「中韓対日歴史戦争」というものがあり、このタカ派的な雑誌は、どんなことを書いているのかな、とちょっと気が動きましたが。 でも、その次の大きさの見出しで、「日本人のルーツ最終結論」というのを眼に止めていなければ、この雑誌は、買わなかったでしょう。
 
 それで、関西空港の売店で、この雑誌を買い、飛行機の中で読むことにしました。 結論的には、けっこう面白く興味のある記事がいくつかあったので、11時間以上かかるアムステルダムまでの窮屈で長い機内時間の3分の1以上は、この雑誌で紛らわせることができました。
 
 で、早速ですが(でもないか)、折角ですので、ページの早い順にその記事の感想や意見を書きます。
 
 まず、6ページからの今号の主たる記事である日本と中韓の軋轢(あつれき)に関する記事ですが、ここは、ご想像のとおり、ややタカ派的な傾向があり、かなり激情的な記載になっているので、私にはそれほど興味がなく、実際じっくり読んでません。 ただ、その最後の方(P37)で、香港出身の人が書いている「中国が突如日中関係改善を言い始めた理由ーーー」 の記事はやや興味がありました。
 
 その次に、42ページにかつてのスーパーの王、ダイエーの中内氏のその盛衰のことが書かれていましたが、その時、この著者を見てびっくり、あの橋下大阪市長への差別的な記事で、一躍有名になった佐野眞一だったからです。 私は、こっちにいるので、何も知らないのでしょうが、この人はなんかは、もう干されているのだと思っていました。
 
 次に、59ページから、ゴーマニズム宣言の小林よしのりの漫画がありました。 ゴーマニズム、まだやっとんたんか、という思いでしたが、最初の2ページは、女性の権利に関して、真っ当なことを書いていたと関心しました。
 
 次に、ジャーナリストの大谷昭宏の「たばこイコール悪を絶対正義とする考え方はおかしい」という記事を読みましたが、今まで何十年も人権問題などで評価していた人のものだっただけに、大変がっかりしました。 上記の小林よしのりの時の反対の感覚です。 たばこが、絶対悪とは、私も言いませんが、この時代にあって、完全な分煙や完全な禁煙を実施するという考え方の何が問題なのでしょうか? まあ、タバコのことは、私は、一家言あるので、いずれまた別の機会にじっくり書きます。
 
 83ページには、少し前、私もここで書いた、現代人が「やぶさかではない」などの語彙の意味を誤解していることに関する記事でしたが、この著者は、その誤解を恥じているように書いてました。 でも、私は、その誤解の方が多数派なら、その新しい意味が今の時代の正解であると思っています。
 
 で、その次のページ(84)ですが、これは、今、小中学校の運動会で、とても高い組体操のピラミッドをやっているという記事でした。 そして、それが、非常に危険なのにもかかわらず、関西を中心にいよいよ盛り上がっているように書いてました。
 
 これも、私などは、日本の学校では、事故や病気の発生を怖がって、萎縮し何もしないようになっているものとばっかり思っていたので、ちょっと驚きました。 私たちが、高校を出た後、体育祭などでは、騎馬戦や棒倒しなどは、しなくなったと聞き、残念に思っていましたが、今は、またこういう9段や10段で7メートルの高さもあるピラミッドをやっているのですね。 
 
 ナンカ、心配になりますが、そうであれば、少し前、柔道が、体育の正規の授業に組み込まれる時にあった、あの過敏すぎる警戒感は何だったんでしょうか? まあ、私は、今でも、受け身に特化して教えるほうが、生徒たちの将来の護身のためにも有益だと思っています、年間たった12.3の時間数であれば!
 
 それと、次がまた面白く、90ページに、今の学校では、鎌倉幕府の始まりの年は、1192年ではなく、1185年であると教えているなどの教科書の記述の変化を書いてました。 鎌倉幕府の件は、1185年に頼朝が、守護地頭を設置したからということらしいですが、これは、東京書籍という出版社のものにそうなっているようですが、私が今回買った帝国書院の日本史通覧という教科書参考図解では、鎌倉幕府の始まりは従来のままでした。
 
 ここでは、外国人の偉人の名前も、今は、例えば、リンカーンではなくリンカンという記載になっているというものもありましたが、長くなるので私の意見を省略しますが、このコーナーで一番面白かったのは、英語の教科書では、今は、My name is Masaya Ueno. ではなく、 I am Ueno Masaya. と言うようになっているというものでした。 マイネームの方ではなく、私の名前の姓と名が、昔の順番と逆になっている、というのが大きな驚きでした。 
 
 ただ、日本人の姓名を英語など外国ではどう表記・発言していくか?という問題は、ずっと以前からあり、私も興味を持っていましたが、このSAPIOの記事によれば、2000年の国語審議会が、こういう場合に姓ー名の順にすることが望ましい、という意見が出て以来、こうなったと言うわけです。 知りませんでした! で、早速、大使館から息子に送られてきた中学1年の教科書を見ると、確かに姓ー名の順での自己紹介の文がありました。 この点は、これでいいと私も思います。 文化の問題ですから。 西欧人(ヨーロッパでも姓ー名の順の国はありますが)にこういうことの文化の違いを認識させるのは、いいことだと思います。 
 
 この点については、それこそ中国・韓国の人は、ずっと前からやっていましたが、日本では、明治の欧米の文化を取り寄せる時の習慣がそのまま残ったり、名前の構造なんかも中韓と違うので、長らくこういうことになってしまったのでしょう。
 
 で、やっと最後の私にとってはメインの「日本人のルーツ最終結論」(P94から)の記事群に入ります。
まず、一番最初に、DNAの人種・民族的な差異からわかる我々の祖先の地球規模の移動を示した地図が紹介されています。 下が、それを例の生撮りでコピーしたものです。(スイマセン、このやり方しかしらないので!)
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 このページの記事は、斎藤成也というその分野の専門家によるものらしいのですが、この地図は、明らかに間違いがあります。
 
 
 7万年ほど前に、アフリカを出たホモ・サピエンスは、インドなどの沿岸を経由して4-5万年前までにはオーストラリアに到着していたと、多くの学者が言っているのに、この地図では、たった3000年前になってます。
 
 
 この地図は、どうも雑誌の編集部が、著者の論文を参考に作ったようなのですが、でも、著者もこの雑誌が発行される前に、チャラっとでも、自分のところの記事を見ていれば、こんな単純な間違いにすぐ気づくはずなんですがーーー? ただ、ハワイやニュージーランドに、人類が到達したのは、2000年前以降の極めて最近のことらしいですが、地図上の矢印は、どうみてもそうなっていないね!
 
 あと、かつて新モンゴロイドと言われた中国人や朝鮮半島の人、そして弥生人や多くの現日本人の祖先と言われる人々の出現が、たった3000年前になっているのも、少し疑問です。 それなら、中国の古代文明を創始した人々より新しくなってしまいますが、どうなんでしょう?
 
 この斎藤という研究者は、今、DNAの分析・研究を進め、縄文人の由来を突き止めようとしており、その結果に非常に興味が持たれます。 
 
 このメインの記事の後、かつて古代史の中でブームになった江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」や邪馬台国の所在地の記事、そして、「天皇には、なぜ姓がないのか」、そして、日本語の起原などの文章が続き、どれも、私には、以前から、だいたい知っている内容ではありましたが、けっこう面白く読ませてもらいました。
 
 ただ、一つだけちょっと言いますと、それは、ちょうど100ページから書かれている天皇に姓がないという記事のことなんですが、この著者は、天皇は、藤原氏などの臣下に姓を与える立場にあったのであり、自身は姓を持たなかったみたいなことを書いてますが、多くの考古学者や古代史家の間では、天皇家も、古代の時代の国際的な場面では、中国の皇帝などに対して、倭という姓で呼ばれていた、とあります。 つまり、倭国の王だから、倭が苗字なのですと。 だから、倭の五王の一人で讃(さん)という大王がいますが、この人も、中国サイドからは、倭讃という名で呼ばれていたはずだということのようです。
 
 まあまあ、長くなりました、キリがないので、この辺にしておきます。 700円ぐらいと、ちょっと高めの値段でしたが、まあ、結構楽しませんてもらいました。 あまり偏見なく、いろんな本や雑誌を見ることの意義を改めて知った感じです。 終わります、フーーーー。