年縞(ねんこう)、覚えてます? 年の功ではないよ。

 今朝も快晴。 「アイルランドの青い空」です。 ワールドカップが始まった頃から、ずうーと晴れた日が多く、先週の金曜・土曜が雨模様だった以外、ほぼ雨なしです。
 
 ですので、日頃ほとんどしない植物への水遣(や)りもします。 毎日やっているのは、妻の鉢植えだけで、私のは、すべて庭に植えてあるので、4-5日に一回程度ホースでやってます。
 
 さて、ほとんどネタがなくなってきましたが、昨日も書きましたように、このところ朝の日課みたいになっているので、何か書きます。
 
 そこで、ここ1・2年の科学上の発見と言おうか研究成果のようなニュースで、私が一番興味を持ったのはにしますが、それは、あのSTAP細胞ではなく(当初発表された時点の)でもなく、ヒッグス粒子でもなくーー余談ですが、この手の宇宙の起源とか存在に関わる理論とかの話は、大変興味があるのですが、この暗黒物質とか暗黒エネルギーとか言われるものや、5次元や6次元、はたまた、10次元の世界の存在の可能性とかを言われると、私の頭ではとうてい及びもつかない(NHKスペシャルなどでは、CGを使って説明をしようとはしていましたが)ことですーーで、いまのところこのヒッグス粒子の発見(ホントかな?)にも、あまり感動しておりません。
 
 
 それで、一番面白かった科学ニュースは、年縞(ねんこう)のことでした。 これは、湖などの底に溜まる堆積物のことです。 この堆積物も樹木の年輪のように、季節や年毎に明瞭な縞(しま)模様になって表れるという現象です。
 
 去年の夏頃かなー、私がブログを休止していたときに、NHKのニュースで流れたので、見た方も多いと思います。 
 
 この年縞を活かして画期的なことができるのですが、それは、たとえば、その積み重なった年縞の間に落ち葉が入り込んだとします。 その葉がある年縞の出来た年代は、縞を数えることで正確に算定できます。 
 
 で、次に、その葉の中にある同位体元素(例えば炭素など)の減少ぐあい、つまり半減期と呼ばれるやつですが、これを測定します。 そして、例えば、ある土器に含まれるこの同位体の減少割合と、1555年前のものと確定している落ち葉の同位体の減少割合が全く同じであれば、この土器が作られたのは、正確に1555年前である、ということになるのだそうです。
 
 すごいですね。 画期的ですね。 ニュースでは、実際に、日本最古と言われる縄文土器の年代測定を試みていました。 この土器は、従来は、地層の年代測定から約16900年前のものとされていましたが、今回の年縞による測定で16633年前のものと断定されました。(どちらの数字も私の記憶によるもので間違っているかもしれません、ご了承を)
 
 もうおわかりのように、古代史に特に興味のある私としては、この測定方法で、いまだ確定していない多くの遺跡やその他の出土物の正確な年代測定がなされることを願っているものです。 ただ、邪馬台(ヤマト)国あたりの年代では、いままでも樹木の年輪を利用した年輪年代法が確立していて、これが利用可能なのですが、この両方で確定すれば、その遺物の年代は決定的になり、変な邪説の入り込む余地はなくなる、と私は思っています。
 
 今のところ、ウェブサイトを見ても、その後の考古学的な成果は、あまり出ていませんが、きっとすぐにいっぱい出てくるでしょう、そして、日本の古代史の研究が、飛躍的に進むかもしれません。 ご存知の方も多いと思いますが、最近の別の手法の調査では、私たちがこれまで教わってきた弥生時代や古墳時代の始まりの時期が、もっともっと古くなる傾向にあります。 結構、有力な説になってきていますが、まだ、教科書などにはあまり反映されていません。 
 
 でも、私は思うのですが、我々は昔のことをすぐ過小評価しすぎる傾向にあると思います。 何か古いものの発見があると、「あの時代の人間が、こんなスゴイものを作っていたのか!」などと言ったりしています。 弥生時代には、IT産業は、なかったけれど、当時の人々が作り出す居住環境は、今の人間が作り出すものに劣っているのでしょうか? 環境との調和などを考慮すれば、どうなのでしょうか?
 
 話は、ちょっと飛びましたが、この年縞による年代測定は、何万年という長さで、ほとんど全ての遺跡物の測定が可能です。 年輪年代法は、測れる年数がもっと小さいし、ある種の樹木だけが対象になります。 それに、この年縞からは、地球のかつての気候変動や地震の発生状況もわかるということですので、素晴らしいですね。 
 
 そして、この年縞自体の正確さは、地域によって湖などの水源によって差があるので、なかなか世界中の基準となるものがなかったようですが、福井県にある水月湖(すいげつこ)が、世界標準の年縞として認定されたようで、この水月湖の年縞の測定結果は、世界の歴史に大きく寄与することになりそうです。
 ホントに楽しみです。 日本に帰った時には、ぜひこの水月湖を見に行きたいものです。(可能なら) ではまた。