姫路駅北に超高層ビル、ホンマにエエンでっか???

 またまたローカルな話ですいません。 
 
 姫路市のJR姫路駅の北口とお城との間のメインストリートは、大手前通りと呼ばれ、姫路のシンボル的区画です。 「姫路には、この通りしかない!」みたいなことを他の大都市の人間は、偉そうに言うことがありますが、私には、これだけのりっぱな景観の通りは、他の都市ではあまり見ることができないものだと思っていますので、1つで十分、という感じです。 何と言っても、姫路城を真正面に仰ぎながら歩けるのですから。
 
 で、ご存知の方も多いと思いますが、今、姫路市は、この駅前の大変貌を目指し、大きな再開発プロジェクトが、実施されています。 去年の正月前後に、姫路に戻った私ですが、その頃は、もう今出来上がっている新しい駅ビル(ピオレ)だとか、地下街やその他の施設は、皆工事の真っ只中だったため、変化の兆しは感じましたが、どこもかも乱雑な様相を呈していました。
 
 その後、アイルランドに戻ってからは、姫路のタウン情報や建築物の進捗状況を紹介しているウェブサイトをいろいろ探し、変化の様子を楽しんでいました。 今度、ふるさと姫路に帰る時には、駅前の華麗な変貌を見るのがとても楽しみになります。 このことは、去年4月にこのブログを休止する前にも少し書きました。
 
 ということで、私は、去年の今頃には、いろんな姫路の都市開発に関するサイトを見ていたわけですが、どういうことか、このニュースは、見落としていました。 それは、ちょうど1年前の今頃、この駅前再開発の一環で、前のJRの貨物ヤードの跡地に、姫路では、初めてとなる超(?)高層のホテルを建設するということが、姫路市の計画で承認された、というニュースです。 この予定のホテルビルは、約100メートルの高さなので、今の時代では、超がつくのかどうか、よくわかりませんが、姫路では間違いなく言えることです。
 
 姫路の人間なら、誰でも知っているのですが、姫路城周辺の市街地は、お城より高い建物を建ててはいけないことになっています。 実際何メーターまでならいいのか、専門家以外はよく知らないでしょうが、とにかく、高いものは、アカンと! 
 
 姫路城は、ご存知のとおり、小高い丘に立つ平山城です。 この丘は、姫山と言って、約45mの高さで、その上の大天守閣は、これも約45mあります。 だから、姫路城のテッペンは、海抜約90mの高さになります。 それで、実際、今の大手前通りの両側やその付近のビルは、50~60m以内の高さにあるんではないでしょうか。
 
 不覚にも、私がこの超高層のビルのニュースを知ったのは、ニュースの出た半年も後の去年の秋頃でした。 このニュースが出たその数日間は、あまり検索していなかったのでしょう。 もしニュースが出た時に知っていれば、その時、今日のような記事を書いていたと思います。
 
 このニュースを知ったあと、関連のウェブサイトを4-5箇所見ました。 姫路市のサイトだとか、個人の建築を紹介したブログなどです。 でも、この超高層のビルの建設に、ちょっとでも懸念の気持ちを述べたのは、「陽は西から昇る」というブログを書いている関西人というプロフィール名の方だけでした。 姫路の駅北の景観は、お城がどう見えるか、ということが真っ先に考慮されるべきものであると、私は思いますし、この人もそういうことを書いてました。
 
 それ以外の建築や都市開発を紹介したブログでは、この超高層ビルの計画をただ喜んで書いているという感じでした。 私は、ウェブで見れる範囲で、市議会の議員の意見などを調べましたが、このニュースの流れた去年2-3月の頃に、この計画への疑問とか反対の意見を見つけることはできませんでした。
 
 それで、上に書いた姫路市が定める建物の高さ制限のある地域が、実際どうなのか、これも姫路市のサイトでみました。 それによれば、今回のホテルビルの建設予定地は、その制限区域のちょうど外でした。 英語で言えば、just outsideという感じで、まさにこんなビルが欲しいから、その区域を設定しているような感じに、私には見えました。
 
 私は、何も、正面からこの計画に反対というわけではありません。 言いたいのは、先にも書きましたように、この姫路で、お城ができてから400年間、市民庶民が、慣れ親しみ畏敬と愛着の想いを込めて眺めてきたもの、その景観のあり方を、今の時代の今の行政の人間が、簡単に変えていってもいいのでしょうか、ということです、本当によく検討したのかどうか、ということです。 
 
 もちろん、時代の流れはあって、姫路駅の南側では、かなり高層のビルも立つようになりました。 姫路の市街地全域で、このような制限をつくることは無理でしょう。 しかし、この駅の真北で、しかも大手前通りから、そんなに遠くないところに、このようなビルの建設、本当にいいのでしょうか???
 
 ローカルな話と言いましたが、姫路城は、国宝であり世界遺産、日本中や世界中の人たちの共通の遺産でもあり、今回もその改修を終えたばかり。 そのお金は、日本中の人の税金によるものでしょう。 もうすぐお披露目される、その新しくなった一段と美しい姿を、このホテルの利用者だけは、よりいい角度で見れるということになります。 
 
 いや、ホテルは、誰でも入れて、誰でもその景色が見れる、と言うかもしれません。 しかし、それでは、このホテルのオーナーなどの特定の個人に利するだけのようにも思えますし、このホテルの存立そのものが、姫路の景観を失っているものであるかどうかなどは、だれが判断するのでしょうか?
 
 かつて、パリで、エッフェル塔ができたとき、ある有名人(画家だったか)は、それ以来、このエッフェル塔の真下によく来ていたそうで、それで、ある人が、その有名人に「どうして、ここによく来るのですか? そんなにいいところですか?」みたいなことを尋ねた。 すると、その有名人は、「ここが、パリで、この醜い塔の見えない唯一の場所だから。」と答えた、というようなブラックジョークを見た覚えがあります。
 
 今では、パリの観光名所の一つのエッフェル塔ですが、建設当時は、あまり評判がよくなかったようですね。 私が、ここで書いていることは、その有名人のジョークのような取り越し苦労かもしれません。 でも、エッフェル塔の形状そして立地場所と、今回のどこにでもあるような四角いコンクリートの建物では、その内容は大きく異なるような気もするのですが、皆さん、どうでしょうか?
 
 こんなことを書いても、2016年度には、このホテルは完成するようです。 DIYをやっている私は、よく知ってますが、計画と実際できたものは、かなり異なるということもあります。 まあ、こんなことを書いている私も、うれしがって、この高層のホテルの最上階にでもあるレストランか何かに行って、姫路城の夜景を楽しんでいるのでしょうかねーーー。 ほな、ポテチンです。