武道必修化の意義とは、

 柔道の最強レベルの話は、これぐらいにして、もう少し我々の普通のレベルの話で言えば、今年の春、柔道などの武道が、学校で必修になるということに関してかなりの報道がありました。 そして、話題の中心は、柔道の危険性についてでありました。 
 
 あれから半年経ちましたが、学校現場でどのようになっているのか、報道もないし、日本に住んでいない私には、噂も聞こえてこないので、よくわかりません。 まあ、例のごとく、ウェブサイトを詳しく調べれば、そんな情報も入ってくるかもしれませんが、ナマケの私は、そこまでやってません。
 
 この必修化の時、NHKのクローズアップ現代などでも、この問題を取り上げていましたが、このときの番組の編成には、かなり疑問をもちました。 柔道で、子供が死んだり、後遺症の残る重症を負ったりしている例を挙げてましたが、その場合は、本格的な柔道クラブで練習をしていた生徒たちであったようですし、大半は、シゴキに近い練習内容のようでした。 
 
 柔道が、他のスポーツより、事故の発生率が高いなどの、ある大学教授の報告も示していましたが、その比較には、他の武道やボクシングそしてラグビーなどの接触スポーツ、また、スキーや馬術なども対象とされてなく、とても公平とは言えません。  
 まあ、もちろん、武道・格闘技では、ケガはつきものですし、その指導監督にあたる者は、そのことを十分念頭においた指導方針を持たなければいけません。
 
 ただ、番組を見ているうちに、武道の授業は、月一回程度であると、最後のほうに言ってました。 つまり、年間12回ほどと。 何と、それだけ! それだけのことで、大々的に問題化したり、お金をかけて報道しているのかと、正直思いました。 月1回では、何も身につかない。 それならば、全回受け身の稽古だけで十分でしょう。 いや、恐らく、受け身もまともに習得できません。 
 
 私自身の道場のことは、あとでまた詳しく書きますが、私の道場では、受け身は、たとえば、前回り受け身の場合、アスファルトやコンクリートの上でもできるほどの正しいものを要求しています。 護身術というのは、何も、悪い連中から身を守るということだけではなくて、身の回りに潜む不慮の事故などの危険を少しでも小さくしていくという意味もあります。 いや、日本のような国では、後のことの方が、より重要でしょう。
 
 文部省の役人が、日本の子供たちに、年間12時間で、日本文化の一部をより認識してもらいたいのであれば、実際に体を動かすことは、個人個人に任せておいて、学校では、相撲や柔道などの成り立ちやその精神などを教えたり、あるいは、明治の中頃以来、柔道を拡めるために海外に飛雄し、それぞれの地で異国の巨漢たちと対戦した強者どもの逸話を紹介したりするなども、いかがなものでしょうか。
 
 内向きになっていると言われる今の日本の若者には、いい刺激にもなると思いますが、ダメですかね?