日本も、早くメンツを捨てて、IMFさんに来てもらいましょう!

 このように、アイルランドのことを非難めいて書いていますが、これも、以前書いたようにアイルランドなどは、EUの庇護のもとにあり、なんとか守られると思うからです。 そして、私自身にとっては、いくら妻や子供たちの母国とはいえ、日本に対する気持ちと同様には、いかないというのが本音であり、より客観的な思考ができるせいでしょう。
 
 しかし、そのアイルランドでも、IMFなどの資金援助の話が決定するまでには、少々混乱がありました。 アイルランドのカウエン首相は、たしか11月20日頃に正式にIMFの資金援助を認めましたが、その前日まで、ニュースキャスターの質問にも、本当にシラジラしく、そのことを否定していました。 私たちには、その2~3週間前から銀行筋のソースとしてのニュースなどで、かなり情報が流れているのに、当の首相は、全くのシランプリでした。
 
 そのことで、アイルランド国民の憤りは、よけいに増した気がします。 まあ、結局、首相としても、国のメンツ、国家の威信があるので、最後の最後まで、核心の部分を言いたくなかったのでしょう。 それでも、この前書いたように、アイルランドへのIMFなどの関与は、比較的国民が裕福な状態での実施なので、そのメンツのレベルも、とことんまで頑張りそうなアジアの国々と違って、あまり高いとは、私には思えません。
 
 もう一度言いますが、私は、上に書いたようなアイルランドに対する冷ややかな目は、この国の経済危機が、それほど深刻ではない、と思うからでもあります。 私には、どう考えても、やっぱり日本の近い将来の方が心配です。 アイルランドも、高齢化が進んでいます。 しかし、カトリックの国の中でも、特に、避妊・人工中絶に対する拒否反応が強いこの国では、出生率は、日本より遥かに高いです。 (中絶の拒否は、それ自体、この国でいろんな大きな問題を含んでいますが、ここでは省略します。)
 
 日本の少子高齢化は、世界最先端です。 国の借金のGDP比も世界一(ただ、金額では、いまやアメリカも日本を凌ぐ数字になっていると思いますが)。 大胆な移民制度などを導入しないとなると(地方参政権でも、もめているから、だめでしょうけど)、このままでは、生産人口は、急激に先細りとなります。 
 
 インターネットなどで、経済専門家の意見を見ますと、かなり楽観的な人も結構いますね。 経常収支が、日本は黒字なのだからとか、日本には海外資産がいっぱいあるとか、日本の国債は、ほとんど日本国民によってまかなわれているとか、など。 でも、私には、そういう説明では安心できそうにありません。 そのような専門家が、正しいと祈るばかりです。
 
 私には、もちろん、多くの日本の文化・伝統を守りたいという強い気持ちがあります。 だから、こうやって心配しているのですが、でも、逆に言うと、アイルランドのようにいち早く、IMFなどに頼ったほうが、大局的には日本のためなのではないか、と思っています。 大国である、あるいは、大国になる必要はなく、この列島で、この風土に適した、豊かな文化生活が出来ればいいのですから。 
 
 結局、日本では、明治維新にしても、戦後の民主主義にしても、それらは、外圧なくしては起こらなかった。 民衆による改革は、ついになかった。 まあ、結果として、ここまで経済的にも民主主義的にも繁栄してきたのだから、それはそれでいいのでしょう。 だから、あまり無理せず、日本も中国などのメンツ外交と同列にいるのではなく、IMFなどを恥ずかしがらずに採用したらいかがでしょうか。  そうでないと、この硬直した財政構造を変革するのは、並大抵ではないように思えます。