バイリンガルへの道(続き)

 前回の終わりのほうで、子供を、毎年数ヶ月、日本に滞在させることができないもっともらしい理由を書きました。 
 でも、、本当は、私たちには、そこまでの経済的な余裕がなかったり、日本で、そんな長期間面倒を見てくれる祖父母などがいないということが、第一の理由になると思います。 
 
 それで、子供たちがバイリンガルになってもらいたいために、私が、これまでやってきたこと、そして、いまでもやっていることを具体的に書きますと、まず、子供が生まれてから、ずっと子供に日本語で話しかけています。 そして、日本の童謡もよく歌いました。 声もよくないし、、歌もうまくありませんがーーー!
 
 これらは、簡単なようで、難しいものです。 自分の元来の性格を変えてでも、やらなければならないからです。 私は、気の合う友人たちとは、政治経済・社会問題・趣味などのことを何時間話しても苦になりませんが、どちらかというと、井戸端会議的なもの、今で言うならツウィッター的なものには、あまり興味がわきません。 
 
 でも、言語の発達という点では、まず、言葉の量を増やして、子供たちにいろんなもの(とくに身の回りのこと)に関する話題を話しかけていかなければなりません。 これは、結構シンドイです。 子供たちが、かなり大きくなった今、その努力・実践は、やや下降気味かもしれません。
 
 次に、子供たちが、小学校に入る年齢になってから、アイルランドの日本大使館から、毎年、その学年用の教科書が送られてきます。(郵送料以外無料) 私は、その国語の教材を使って、月曜から木曜日まで毎日30分程度、こちらの小学校の宿題をする前に、日本語を教えています。 金曜日がないのは、小学校の宿題もないからです。 本当は、もっとやらせたいのですが、週末モードに入ってしまう子供たち(もちろん、私や妻も)をシッタゲキレイして、日本語を勉強させるのは、むずかしいです。
 
 それと私の家には、JSTVというNHK中心の日本語衛星放送を入れています。 もちろん、私の娯楽のためというのが主ですが、子供たちに日本語をもっと聞かせたいというのも、もう一つの理由です。 でも、5歳ぐらいまでは、「おかあさんといっしょ」などを私と一緒に楽しそうに見ていましたが、それ以降になると、言葉が難しくなるのと同時に、彼らに興味のある番組がないということもあり、なかなか見るものがないようになりました。
 
 その後、子供たちは、英語の番組でもパワーレンジャーのようなヒーローものが好きになってきたので、私は、日本のウルトラマンのDVDを買って見せました。 これは、大正解でした。 どこまで、ストーリーが分かっているのか知りませんが、よく見ています。 
 
 それから、テレビ番組としては、今年の前半までやっていたNHKの「新・三銃士」は、子供たちに人気がありました。 あの番組は、私も素晴らしいと思いました。 あのような精巧な人形劇は、外国にもそんなにないのではないでしょうか。 子供たちがわからない三谷幸喜特有のギャグには、私だけ笑っていました。 
 
 それと私の車の中の音楽は、もちろん、日本のものだけです。 主に、童謡と私の好きな懐メロです。 下の娘は、とくに歌が好きで、「花びらの白い色は、恋人の色、懐かしい白百合は、~~~、」などとよく歌っています。
 
 それと、私は、日本語というのは、西欧語以上に、読み書きが重要だと思っています。 もちろん、西欧語でも、きちっとした文章が書けるかどうか、ということは社会へ出るにあたって、とても重要だとは思いますが、日本語の場合、習字・書道というものがさらに加味されます。 これが、ある程度、理解されていないと日本語を全部理解したことにはならないと、私は思っています。
 
 こちらにいて思うのは、書道というのは、本当に素晴らしいと感じることです。 私たち夫婦は、こちらの友人たちに赤ちゃんができると、色紙にそこ子の名前の当て字の漢字を墨で書き、さらにちょっと色紙を貼るなどしたものをプレゼントしています。 これは、とても喜ばれています。 西欧でも、カリグラフィーというデザインがかった書体がありますが、書道は、ちょっと次元が違う感じがします。
 
 まあ、という私自身も、若い頃はあまり興味もありませんでしたが、この書道というのも、ずっと日本人が持ち続けていってもらいたい大事な文化だと思っています。 そして、私の子供たちも、いつかは、こういうものを自分からそっせんして味わってもらいたいものだと、思っています。