久しぶりに、組織にいる人間のような気持ちに!?

 私は、アイルランドの西部の田舎で、たった一人の日本人の男として暮らしています。 このあたりでも、アイルランド人男性と結婚した日本人女性は、結構、多くいます。 私の家を起点に半径50キロ以内で、少なくとも5・6名は、そういう女性がいることを知っています。 でも、男では、旅行者や短期間の滞在者などを除くと、おそらく私一人でしょう。 
 
 ですから、たまに日本人男性がこの近くに来ると、出来るならば会いたいと思っています。 ただ、そういう人がいても、相手の家族の関係などで、なかなか会うことが難しいことも事実です。
 
 つい数日前、近くに空手の先生が、やって来ました。 私も武道をするので、ぜひ話してみたいと思い、会いにいきました。 もちろん、私より、年配であり、こちらの空手クラブから招待されて来た人なので、私としても、出来るだけ丁寧をつくして、言葉遣いなど気を配りながら談笑しました。 そして、ひょんなことから、レストランでの夕食までも一緒にすることになりました。 
 
 まあしかし、この空手家のおじいさん、とてもムズカシイ人でした。 こちらが気を使って、いろいろ話題をふるのですが、返事は生半可で、その話題が好きなのかどうかもよくわからない。 あまりウルサク聞くのもなんなので、ゆっくりじっくり話題を変え、話かけていたのですが、突然急に、「もう、この私に話しかけるな!」と言われてしまいました。 一緒に食事をしていた回りの空手家のアイルランド人も少々心配している様子でした。
 
 私は、組織から離れてもう17年、それまでは、職場の飲み会も多くあり、もちろん、その多くは、楽しいものであったり、とくに何もない普通のものでしたが、たまに幾度か嫌な上司やむずかしい後輩などと飲みに行かなければならない状況もありました。 まあ、彼らも、私のことをそう思ったかもしれませんが。 しかし、この夜の出来事は、久しぶりに当時の嫌な時を思い出させるような、とても後味の悪いものでした。 
 
 この老空手家は、自分では、自分の空手の技も精神も超一流だと、おそらく思っていることでしょう。 しかし、彼の空手は、型(あるいは形)空手、まして、彼の場合は、自分が組織の長であるから、彼自身のパフォーマンスがそれを習うものたちの手本となる。 型であるから、彼のパンチや蹴りが、本当に凄いものどあるかどうかも、わからない。 私などから見ると、この小柄なおじいさんは、もう普通の運動能力もあるように見えないし、技もあまりパッとしない、感じでした。
 
 しかし、空手の腕よりも、私としては、そのような立場の人は、もう少し人格的に立派であってほしいと思うので、この夜のことは、本当に残念でした。 
 
 でもまあ、久しぶりに理不尽なことを言う人間に会い、そして、こちらが言いたい気持ちを押さえなければならないという状況に陥ったという事実が、遠い昔を思い出させるという点では、ちょこっと面白かったかなあという感じです、数日経った今では。 
 まあでも、こんなことは、もう要りませんが。 ポテチン!