道州制への個人的思い

  道州制の行財政的メリットは確かにあると思いますが、私には、個人的においても、この制度を支持したい思いがある。
 私の出身の兵庫県は、恐らく全国でも1・2位で県民意識の低いところだと思う。 静岡県や三重県もそうではないかと想像するが、兵庫県は、例の廃藩置県によって、旧五か国の寄せ集めでできました。 風土や気候も違うし、言葉遣いもかなり異なる。 たとえば、北部但馬は、もともと関西的なアクセントではない。 
 
 今人気の大河ドラマ竜馬伝で、神戸港の前身の様子を描いているが、この港を発展させるために、大きな後背地が必要として近隣の地域の合併吸収となり、今の兵庫県が出来上がったようです。 もちろん、そこには、旧幕府側であった姫路藩への嫌がらせもあったかもしれない。 幕末まで、姫路を中心とした播磨地方は、経済的に豊かな国であった。 平城京、平安京の昔には、主に経済力の強さから、諸国に大国・中国・下国などのランク付けがあったが、播磨は、京の近くにある国の中では、1・2を争う大国でした。 
 
 今の兵庫が出来てから、多くの金が、播磨や但馬、丹波の地から、この神戸港の造成のために使われた。つまり、周囲の国々の財産を今の阪神地域が、吸収していったとも言える。 まあしかし、私は、今、この昔のことに怒っているわけでもないし、そんな無駄なことをしたいとも思わない。 
 また、私は、神戸でも働いていたし、神戸・三宮の飲み屋街である東門筋には、姫路の飲み屋街魚町よりもっとお世話になった、また、そこには友人もいる。
 
 ただ、これからの道州制の議論の中で、もちろん、その財政・経済能力がまず主体となるが、その地域の歴史や風土も十分に考慮して自治体の創設を願いたい。 日本人は、元来、あまり故郷意識が強くない方だと思う。
 外国にいて、人々のその愛国心の強さもさることながら、その地域地域への帰属意識、誇りというものが、とても強く感じられる。 
 
 30年くらい前の古い話ですが、私の大学時代、獣医学科の県人会の飲み会がありました。 そこで、1学年上(彼は、現役で大学に入ったから、年齢は同じなんですが)の西宮出身の孫悟空に出てくる猪八戒みたいな男から、「ああー、同じ兵庫県といっても、神戸より西の人間は、アカンなあ。」とかいう意味のことを面と向かって言われた。 私は、この豚みたいな男は、何を言ってるんだと思いましたが、外見上でも自分の方が遥かに勝っていると思っていたこともあり、アホのタワゴトだとして、その時は、あまり強く抗議しなかったように覚えている。
 
 まあ、日本人は、都会や人口密度の高いのを自慢したがる人が多いが、それは、住環境とかも総合的に考えると、そうでないことは明らかです。 まして、人口の増加も、これまでは、政府の政策誘導によるところが、大であった。 
 かって、田中角栄は、「明治の初め頃で、一番人口の大きな県は、東京府や大阪府でもなく新潟県であった。 それが、今(1970年頃)は、こういう事態になった。 だから、私は、日本列島改造論を考えた。」というようなことを言っていた。 改造論の是非は、別として、やっぱり、政策的に置き去りにされた人々の思いは、このように強いと、私も思った。
 
 まあ、結論的に言うと、皆が郷土愛をもてるような、そして、真の文化的な生活ができるような行政組織が必要ではなかろうか。 
 最後に、私は、いま、地球上で日本の真反対に近いところに住んでいるが、自分の出身の姫路・播磨地方のことを、とても誇りに思っている。